平成10年度 特別受講生 公開科目 講義概要

 1公開科目                         



 

番号

  科   目   名

担 当 教 員

期間

曜日

時限

人員

 1

哲学・倫理学

石川伊織

前期



 5

 2

歴史

芳井幸子

後期



 5

 3

心理学

原野明子

前期



10

 4

心理学

岡田 斉

前期



 5

 5

音楽

長井春海

後期



 5

 6

言語学

福嶋秩子

後期



 5

 7

法学I

鯰越溢弘

前期



 5

 8

法学II(日本国憲法)

鯰越溢弘

後期



 5

 9

政治学

黒田俊郎

前期



 5

10

教育学

大桃伸一

前期



 5

11

新潟県の文化

福嶋秩子ほか

前期



20

12

女性学

渡辺洋子

前期



10

13

西洋文化論

石川伊織

後期



 5

14

文化人類学

木佐木哲朗

後期



 5

15

生活環境化学

本間善夫

後期



 5

16

被服整理学

本間善夫

後期



 5

17

食生活科学

石原和夫ほか

前期



 5

18

ライフサイクル論

姉歯 暁

後期



 5

19

英文学史

大橋儀隆

通年



 5

20

米文学史

岡村仁一

通年



 5

21

英文学特殊講義

渋谷義彦

通年



 5

22

米文学特殊講義

石栗彩子

通年



 5

23

英語学特殊講義

太田正之・佐藤英志

通年



 5

24

日本語概論

福嶋秩子

後期



 5

25

国際政治論

黒田俊郎

後期



 5

26

現代ナショナリズム論

黒田俊郎

後期



 5

27

地域研究B(現代ヨ-ロッパ研究)

黒田俊郎

前期



 5

28

アメリカ研究

村屋勲夫

後期



 5

29

環日本海人文地理

若月 章

前期



 5

30

現代国際経済事情

村屋勲夫

前期



 5

31

比較思想論

石川伊織

前期



 5

32

比較文化論

木佐木哲朗

後期



 5

33

朝鮮事情B(文化)

波田野節子

通年



 5


34
 


基礎韓国語I
 


熊谷明泰
 


通年
 

前月


 
 2
 

後水



35

 


基礎韓国語II

 


熊谷明泰

 


通年

 

前金


 
 2
 
 

後火
 


 


 

 

 学科別区分

   1〜14 教養科目 18   生活科学科生活福祉専攻専門科目

  15〜16 生活科学科生活科学専攻専門科目 19〜24 英文学科専門科目

  17   生活科学食物栄養専攻専門科目 25〜35 国際教養学科専門科目

 

 ○講座開設期間及び時限

  (1) 期 間

     通年 平成10年4月15日〜平成11年2月10日

     前期 平成10年4月15日〜平成10年9月30日

     後期 平成10年10月 8 日〜平成11年2月10日

  (2) 時限

     1限 8時50分〜10時20分 3限 13時00分〜14時30分 5限 16時30分〜18時00分

     2限 10時35分〜12時05分 4限 14時45分〜16時15分

 

 ○その他

    授業の曜日・時限が変更になることがありますので、あらかじめ御了承ください。
    また、本学は原則として自動車での通学はできませんので、あわせてあらかじめ御了承ください。

 

  2講義概要
  (注)テキスト・その他の教材等の指示がないものは開講時に指示する。

                                 

1 哲学・倫理学(前期) 担当教員 石川伊織
 人間は自然の一部でありながら他の動物がけしてしないことをします。それは、「考える」ということです。餌を食べるとき動物は、「私は今餌を食べている」とか「私は今他の生物の命を奪って自分の食欲を満たしているが、これは正しいことだろうか」とは考えません。それどころか人間は、「では、私たちのやっているこの考えるとはどういうことか」とさえ考え始めます。考えるということについて考えるという堂々巡りから哲学は始まります。この問題に価値や善・悪がからむと倫理学が生まれてきます。講義ではデカルトの『方法序説』とプラトンの『ソクラテスの弁明』を通してこの堂々巡りについて考えていきます。テキストはどちらも岩波文庫。

 

2 歴史(後期)  担当教員 芳井幸子
 明治維新以後の日本の歴史は、1945年8月の連合国への降伏で、戦前・戦後に分けられる。敗戦によって、明治維新を出発点として構築された戦前日本の国家体制は崩壊した。戦前の日本は、大日本帝国憲法が象徴するように、非民主主義的で専制的な国家であった。そして日本の近代国家形成の歩みは、アジア近隣諸国への侵略の歴史でもあった。
 非民主主義的で、専制的な国家であったことが、対外侵略への道を歩ませたのであった。近代日本の社会がもったさまざまな問題を考えながら、維新期から1945年8月の敗戦までの歴史をたどりたい。

 

3 心理学(前期)  担当教員 原野明子
 心理学は、自分や相手の理解といった人間理解をめざす学問です。そのために講義の中ではまず、人は自分や相手に関する情報をどう受け取り、どのように処理するか、その結果行動としてどのようにあらわすのかといった心のメカニズムを知ることから始めたいと思います。
 さらに、そういった心の仕組みが変容・発達していく過程や、環境への適応のために心がとる不思議な働きや個人差についてもみていきます。
 また、身の回りにある人間の心の働きや行動を利用しているもの(例えば、宣伝広告やマスコミ、悪徳商法や宗教など)についてもふれつつ、心身ともに安全で健康に生活していくためにはどうすればよいかを考えていきたいと思います。

 

4 心理学(前期)  担当教員 岡田 斉
 心理学の学問的分野は大変広く、残念ながら半期の教養の講義ですべてを網羅することはできません。
 そこで、この講義の内容は心理学入門とし、学生諸君が最も興味を持つであろうような内容に限定して進める予定です。具体的内容としては、簡単な心理テストを用いた性格の心理学、恋愛や人間関係を中心にした社会心理学、一般的な心の悩みの相談にも応用可能な臨床心理学の基礎、夢やイメージといった意識の心理学などになります。

 

5 音楽(後期)  担当教員 長井春海
 リズム表現を基礎とし、身近な“ことば遊びうた”から日本の作曲家の作品を通して、自然な発声、うたうことの楽しさと喜びを追求し、音楽理解を深める。

 

6 言語学(後期)  担当教員 福嶋秩子
 ことばというものは、私たちにとってあまりに身近なものであるがゆえに、あまり意識して考えたりしたことのない人が大部分であろう。言語学は、そんな人間のことばを研究する学問である。母国語である日本語について、また外国語として学んでいる諸言語について、私たちは何を知っているのだろうか。この講義では、様々な言語研究の方法を概観しながら、言語とは何か、言語はどう機能するかについて考えていきたい。

 

7 法学I(前期)  担当教員 鯰越溢弘
 「社会あるところに法あり」と言われる。社会が単なる人間の集合ではなく、一定の秩序を持った集合であるためには、そこには秩序を維持するためのルールが必要であり、それが最も広い意味における法である。しかし、法学Iで扱おうとするのは、法一般ではなく、近代社会及び現代社会という特定の歴史的発展段階における社会の法である。自由・平等で理性的な人間を法主体として想定する近代法が、どのように生かされているか、また、それがどのような限界をもっているかを、現行民法・刑法を素材にして講義する。
 テキスト:伊藤正巳編「現代法学入門」(有斐閣)コンパクト六法

 

8 法学II(目本国憲法)(後期)  担当教員 鯰越溢
 憲法は、国家の基本的組織を定めた国家構成法と国家と国民の権利・義務関係を定めた『人権憲章』から成るのが通常であるが、わが国の日本国憲法は、世界に類を見ない特徴を有している。その一つが、平和主義を定めた9条であり、他の一つが象徴天皇制を定めた1条である。このような特徴をもった憲法がなぜ生まれたのか。そして、それは現在どのような意義を有するのか。このような疑問を考えるとともに、我々の生活の中に生きている憲法を種々の事件に関する判例を通じて理解する。
 テキストは指定しないが、六法を必ず購入し、持参すること。

 

9 政治学(前期)  担当教員 黒田俊郎
 人文・社会科学の名著、あるいは小説や詩、映画といった他のジャンルの傑作もふくめた、古今東西の作品群をベースに、「政治学的にものを考える」とはいったいどういうことなのかを、みなさんと一緒に考えていきたい。わかりやすい授業をおこなうために、身のまわりの出来事や最近話題になったトピックスも適宜取り上げたいと思う。人間は天使でも悪魔でもない。正邪合わせ持つ複雑な存在である。したがって人間存在の悪の側面にも関心を持つこと、あるいは少なくとも「人間は愚かで哀れな生き物である」という認識にある程度の共感を持つことが大切である。政治学は、そのような人間観から出発し、しかし「それにも関わらず・・・」と考える。一方的な講義ではなく、双方向の授業を行いたいと思うので、受講生各位の積極的発言を期待している。

 

10 教育学(前期)  担当教員 大桃伸一
 わが国は戦後の教育改革において、すべての子どもは心身ともに健やかにうまれ、育てられ、生きていく権利をもっていると宣言しました。半世紀が経過した今日、教育をめぐる状況は、こうした宣言内容にふさわしいものになっているのでしょうか。今、わが国の教育の現実を直視するとき、そこには、子どもの発達をめぐるさまざまな問題が存在します。
 教育については誰もがある種の経験をもち、それに基づく一定の知識をもっています。しかし、それらが必ずしも正しいとは限りませんし、「教育」の名のもとに非教育的なことがおこなわれることもあります。わたしたちが日常の経験によって知っている教育に関することがらについて、学問的考察と吟味をくわえ、正しい認識を得ることが、今日必要ではないでしょうか。
 教育学の成果に学びながら、教育とは何かについて考え、家庭、地域社会、学校においておこっている教育をめぐるさまざまな問題について検討したいと思います。

 

11 新潟県の文化(前期) 担当教員 福嶋秩子 他
 雪国で生まれ育った人々と県外から来た人々とが混ざり合って今「にいがた」で生活している。日々便利に新しくなる生活の中で忘れ去られているものがありはしないだろうか。将来の「にいがた」を展望するためにも、今立ち止まって「にいがた」の文化の来し方と現在のありようを様々な観点から考えてみたい。次のような講義を予定している
 良寛漢詩の世界………古代中国のロマンと越後の世相     谷川敏朗
 新潟県の方言………過去・現在・未来            福嶋秩子
 新潟県近代の抒情の系譜………越後明星派・生活派・芸術派  塩浦 彰
 明治の唄本                        板垣俊一
 『北越雪譜』………雪国の文化が産みだしたもの       高橋 実 他

 

12 女性学(前期) 担当教員 渡辺洋子
 女性学は、「女性」という視点に立って、あらゆる学問領域を質的に吟味し、批判的に検討するところから生まれた、学際的な研究成果の総称です。その背景には、既成の学問の体系が、一般的・抽象的な「通説」「常識」の形成には寄与しても、女性が直面する具体的状況や諸問題を読み解き、有効な解決策を探る手がかりを提供するものではなかったとの認識があります。この授業では、現代社会で女性が「主体的に生きる」ことについて、「講義」という形態にこだわらないで、考察していきたいと思います。様々な資料やメディア、手法を活用しながら、女性学の研究成果を学びつつ、女性と男性の過去・現在・未来について、一緒に考えていきます。

 

13 西洋文化論(後期) 担当教員 石川伊織
 ルネサンスが古代ギリシャ・ローマの復興という意味だというのは、教科書に必ず書かれていることです。しかし、それが単純な復興でなかったことは明らかでしょう。古代を復興したからといってヨーロッパ人がキリスト教を捨てたわけではなかったし、古代の奴隷制をも復活させたわけではなかったからです。では、この復興はどんな意味での復興だったのでしょうか。講義では、古典古代についての深い造詣をもとにこれをキリスト教の思想と結びつけたフランス・ルネサンスの思想家、モンテーニュの『エセー(随想録)』をよむことで、こうしてうまれてくる「近代的な人間」について考えます。

 

14 文化人類学(前期) 担当教員 木佐木哲朗
 文化人類学とは、さまざまな文化を担った人間の実像に触れながら、文化を通して人間自身を問い直す学問です。現代文化人類学の基礎は、19世紀後半、いわゆる進化論者とされるモルガンやタイラーによって固められました。当初は、自ら(欧米)の文化に対して異なる文化を、どのように位置づけるかを基本的課題としてきました。その後、現地での調査(フィールド・ワーク)が積み重ねられ、人類文化史の再構成に多くの疑問が出てきました。そこで、このような歴史的研究から、現存する社会そのものを理解しようとするようになってきたのです。
 本講義では、進化論、伝播論、機能論、構造論など文化人類学の歩みをたどりつつ、文化の多様性のみならず文化の相対性についても考えてゆきたいと思います。
 テキストは特に指定せず、適宜参考図書を紹介します。

 

15 生活環境化学(後期) 担当教員 本間善夫
 現代社会にとって 、環境問題は極めて深刻で差し迫った問題であり 、その多様性・複雑さ・広域性や解決への道程の遠さを考えると、無力感に駆られる時さえある。しかし、次代への負の遺産を減らすためにも、私たちはその現状を正しく認識し、少しずつでも解決へ向かって歩み出さなければならない。
 ダイオキシン、フロン 、オゾン、“酸性”雨、トリハロメタン、有機水銀、化学物質過敏症、放射能、…。環境問題の本質を考える時に、化学のことばで考える必要のある場合が少なくない。しかし、科学・技術だけで、問題が解決できる訳でもないことも確かである。
 そのような中で、一人一人がどう考えて行けばいいのかを 、“環境学”の歴史や 、STS(Science,Technology and Society)教育の考え方なども取り入れ、多層的に模索したい。
 また、環境情報活用のために、パソコンやインターネットを利用した講義も試みる。
 なお、本講義で用いる資料の一部は、インターネットWWW上のホームページで公開(http://www.nicol.ac.jp/~honma/home.html)している。

 

16 被服整理学「ぬり絵で学ぶ分子の世界」(後期) 担当教員 本間善夫
 購入時の衣服の諸性能を長く維持するには 、どのような取扱いをすればよいだろう 。繊維・汚れ・水・界面活性剤・ドライクリーニング溶剤・防虫剤など、多様な物質の構造と性質、さらにそれらの相互作用について、コンピュータ出力した分子モデルによる『ぬり絵で学ぶ分子の世界』という独特の手法で視覚的・系統的に理解する。特に洗浄機構については界面科学の視点からエネルギー論的・速度論的に詳述する。
 また、界面活性剤等、身近な化学物質が環境に与える影響を『有機概念図』などを利用して概観し、2年次の「生活環境化学」につなげていく。
 テキスト:平松峻ほか著、「被服整理の理論と実験」化学同人

 

17 食生活科学(前期)  担当教員 石原和夫・渡邊令子・笠原賀子 鈴木裕行
   食生活科学は食生活を総合的に学ぶための講義であって、 “食生活と食物・栄養との関連”を基礎から応用の分野にわたって幅広く学習する。本年度の講義内容は、基礎としての食品科学(鈴木)、栄養学(渡邊)、応用としての食品加工・貯蔵(石原)、食生活と健康(笠原)などである。

 

18 ライフサイクル論(後期)  担当教員 姉歯 暁
 この講義では、個人が社会集団の中でその人生の選択に当たってどのような影響を社会から受け取っているのかを明らかにしていくことを目的としている。具体的には、女性学にも関わりを持ちつつ、政治・経済の動きと女性の意識の変化・結婚と出産に関わる諸問題・女性労働問題・年金問題といったラィフステージごとに直面するであろう事柄を取り上げる。ここでは毎回、身近な問題を扱うので、講義の他に討論の場を持つ予定である。その場合、討論も講義の一部であるので、学生は討論に参加することが義務づけられる。必ず事前に請義内容が示されるので、あらかじめ本や新聞を読んでそれぞれが意見、質問を提起することが要求される。

 

19 英文学史(通年)   担当教員 大橋儀隆
 ヨーロッパ文化に言及しながら、古代から二十世紀初頭までの代表的な作家・詩人の作品を読みながら講義をすすめる。下記の文学史一冊とプリントを使用する。
 川崎寿彦 『イギリス文学史』(成美堂)

 

20 米文学史(通年)   担当教員 岡村仁一
   合衆国の独立から現在に至るまで、アメリカ文学を形成してきた数多くの作家たちの中から小説、詩、演劇等の各分野で重要な位置を占める代表的な作家を採り上げ、アメリカ文学の流れを概観する。講義は原則として毎回一作家ずつの読み切り形式(メルヴィルやフォークナーといったとりわけ重要な作家の場合は複数回に亘る場合がある)で行い、その生涯や代表作、活躍した時代背景、作品の主題や技法等を解説する。

 

21 英文学特殊講義(通年)  担当教員 渋谷義彦
   この講義では、英語の詩をより深く鑑賞するために知っておくことが望ましい詩の技法や文体などについて、恋愛詩、戦争詩、宗教詩などいろんな種類の詩を読みながら、講義していきます。詩と散文の違い、詩の言葉、イメジャリー、比喩的表現、アイロニー、などについて論じます。教材は英詩と設問をプリントで配布します。受講生は講義の前に英詩を読んで設問を考えてくることが必要です。

 

22 米文学特殊講義(通年)  担当教員 石栗彩子
   アメリカ文学の代表的な作品をいくつかとり上げる。併せて批評理論の変遷を概観し、主として、小説の分析を試みるつもりである。積極的な授業への参加を望みたい。

 

23 英語学特殊講義(通年)  担当教員 太田正之・佐藤英志
 音韻論、統語論に関して講義を行う。

 

24 日本語概論(後期)  担当教員 福嶋秩子
   外国人に「日本語」の音や用法、ことばの意味などについて聞かれたとき、わかってもらえるよう客観的に説明することはなかなか難しい。私たちにとっての日本語は母国語として習得されたもので、学習したものではないからである。また、日本語は特殊な言語であるとの考え方があるが、これは妥当だろうか。この講義では、日本語について言語学の立場から説明を試みる。
  1世界の中の日本語       日本語の特徴
  2外国語としての日本語     日本語の音韻・文法・語彙
  3生活語としての日本語     日本語の方言、日本語の変化

 

25 国際政治論(後期)  担当教員 黒田俊郎
 世界政治は、1989年11月の「ベルリンの壁」崩壊を境として大きく変わったといわれる。この授業では、89年11月を契機として世界政治のなにが変わり、なにが変わらなかったのかを、歴史的・理論的に検討することによって、世紀末世界政治の動向を確認し、21世紀世界政治のゆくえを展望したい。戦争と平和、豊かさと貧しさ、市場経済と地球環境といった問題を通して、現代世界における「平和」の意味について考えてみたいと思う。

 

26 現代ナショナりズム論(後期)  担当教員 黒田俊郎
   この授業では、1.民族紛争はなぜ起こるのか?、2.移民と難民:人はなぜ国を離れるのか?、3.少数民族はなぜ迫害されやすいのか?、といった問題の検討を通じて、われわれが普段なにげなく使っている国民や民族という言葉(日本人、中国人、アメリカ人、フランス人といった言葉)のもつ意味を考えてみたいと思う。一方的な講義ではなく、双方向の授業を行いたいと思うので、受講生各位の積極的発言を期待している。

 

27 地域研究B(現代ヨーロッパ研究)(前期)  担当教員 黒田俊郎
 主にヨーロッパ統合の諸相を追いながら、歴史の鏡に映るヨーロッパの過去・現在・未来についてお話ししたい。一方的な講義ではなく、双方向の授業を行いたいと思うので、受講生各位の積極的発言を期待している。

 

28 アメリカ研究(後期)  担当教員 村屋勲夫
 「米国人とは何か」、「米国社会の特質」、「独立戦争」、「領土拡張と南北戦争」などのテーマをたて、独立初期から南北戦争に至るまでの動きが、現在のアメリカ像に大きな影響を与えていることを追求する。また戦前、戦後を通じた「日米関係」を追求することにより、この二国間に変わらぬパターンがあることを認識する。さらに時間があれば、米国社会のエスニック・グループである@インディアンA黒人B日系米人に焦点をあて、その闘争の歴史を見るとともに、これらのグループがどのような影響を米国社会の形成に与えてきたかを分析する。
 教科書は使わず、テーマごとに資料を渡し講義する。

 

29 環日本海人文地理(前期)  担当教員 若月 章
   環日本海地域(圏)の地域研究方法論に触れるとともに、広くアジア全体の中での環日本海地域の存在意味をさぐり、更に中心−周辺的関係のもとでのロシア極東、中国東北三省、朝鮮半島、日本の各々の地域誌、政治、経済、文化等を論じながら、環日本海地域の基本的視座を養っていく。

 

30 現代国際経済事情(前期)  担当教員 村屋勲夫
 世界経済のトピカルな問題を取り上げ、整理・分析する。主なものをあげると、まず三大経済圏である北米、欧州連合(EU)、東アジアに焦点をあて、リージョナリズム(地域主義)の動きを見る。北米では自由貿易協定(NAFTA)締結後の米国、カナダ、メキシコの経済を分析、世界経済に与える影響を検討する。欧州では、EUが今後も拡大と深化を続けていくだろうが、各国の立場の相違を整理し、将来についての課題と展望を行う。東アジアでは日本、新興工業国・地域(NIES)、東南アジア諸国連合(ASEAN)、中国などの経済発展を取り上げ、この地域の局地経済圏の一つである環日本海経済圏にもふれる。他の二大経済圏と比べた特徴も分析する。北米と東アジアを連結させるアジア太平洋経済閣僚協力会議(APEC)の行方や、自由貿易のルールを取り扱う関税貿易一般協定(ガット)の役割にも言及する。

 

31 比較思想論(前期)  担当教員 石川伊織
   能の『隅田川』と、ブリテンのオペラ『カーリュー・リバー』を比較します。1950年代に来日したイギリスの作曲家ベンジャミン・ブリテンは、能の『隅田川』の舞台を見て感動して、さっそくこれをもとにオペラ『カーリュー・リバー』を作曲します。『伊勢物語』にでてくるミヤコドリの歌を踏まえて、隅田川のほとりでの念仏会を背景に語られる、能『隅田川』における母子の情愛と、舞台を中世ヨーロッパの修道院に移してグレゴリオ聖歌をバックに語られる、オペラ『カーリュー・リバー』での母子の情愛を比較することで、両者の思想的背景の違いを浮き彫りにしたいと思います。テキストには、能の台本とブリテンの英語のオぺラの台本から作ったプリントを使います。舞台の様子はビデオで見てもらうことになります。ブリテンの音楽についてはCDを鑑賞します。受講を希望する人は古語辞典と英和辞典を準備しておいてください。

 

32 比較文化論(後期)  担当教員 木佐木哲朗
 世界には、さまざまな人々の英知や価値観があります。本講義では、自然への人間の適応を中心に、超自然への人間の対応、そして人間と人間の連帯について考えてゆきます。具体的には採集狩猟民・牧畜民・農耕民の社会の実例をあげ、生業や社会構造の特色、世界観や呪術・宗教の問題、また各々の英知や価値観などの視点をふまえ、比較を通しながらさまざまな文化のもつ意味を探ろうと思います。異文化を理解するには、その社会の自然や歴史などを知ることも必要ですが、わたしたちとは異なる価値観をまず認め、可能な限りかれらの文化的脈絡に立って考えなければなりません。その結果、真の意味の相互理解に近づくと思います。
 テキストは特に指定せず、適宜参考図書を紹介します。

 

33 朝鮮事情B(文化)(通年)  担当教員 波田野節子
 本授業は文化とくに文学を通じて、韓国への理解を深めることを目的とする。前期は近代文学の作品で日本語に翻訳されたものをいくつか読んで作家研究、作品分析をおこなう。後期は神話や郷歌、時調、パンソリなどの古典を鑑賞する。作品の背景や舞台を知るために、年表や地図を使って韓国の基本的な歴史と地理に関しても学ぶこととなる。なお、後期の後半にはハングルで書かれたものを読むので、韓国語ができることが望ましい。

 

34・35 基礎韓国語I・II(通年)  担当教員 熊谷明泰
 国際教養学科韓国語コース1年次生の必修科目。韓国語の文字と発音から体系的に授業を進める。『NHKハングル入門』(日本放送協会)をテキストとして用いる。年度末には、辞書を引きながら簡単な読み物が理解できる水準にまで語学力を高めることを目標とする。
 なお、受講に当たっては、基礎韓国語I、基礎韓国語Uの両方の科目を同時に受講することを条件とします。

 

 

 

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